交通事故後に知っておきたい被害者請求の「仮渡金制度」

交通事故の被害に遭うと、突然の治療費や通院費、休業損害など、日常生活に大きな経済的負担がのしかかります。
加害者側の保険会社からの対応が遅れたり、示談成立までに数ヶ月~半年以上かかるケースも少なくありません。

行政書士
西野

そんな時に活用できるのが、被害者請求の「仮渡金制度」です。

この制度を上手く活用すれば、示談や後遺障害の認定を待たず、一定の金額を先に受け取ることができます!

本コラムで分かること

  • 仮渡金の基本的な仕組み
  • 請求できる金額・条件
  • 具体的な申請方法・必要書類
  • 利用時の注意点と活用のコツ

被害者請求の"仮渡金制度"とは?

"仮渡金"の意味と法的根拠

仮渡金とは、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)から被害者が最終的な賠償金を受け取る前に、一時的に支払われる金銭のことです。

事故直後から治療・通院・仕事の休業が続く場合、生活費や医療費の負担が重くなります。
このような被害者の経済的困難を救済するために、自賠法(自動車損害賠償保障法)第17条で定められています。

つまり、「示談がまとまるのを待たず、最低限の生活を維持するために国が整備した制度」と言えます。

行政書士
西野

「仮渡金は受け取っても後で返さないといけないの?」とご質問を頂くことが多いですが、
後から返還する必要はありません

仮渡金は、保険金の「前払い」の位置づけにあたり、最終的な自賠責保険の支払額から差し引かれるものなので、返還する必要はありません。

仮渡金制度と被害者請求の関係性

通常、交通事故の賠償は「加害者の任意保険会社」が被害者と示談交渉を行い、その後に支払いが行われます。

しかし、

  • 加害者が任意保険に入っていない
  • 保険会社の対応が遅い
  • 過失割合の争いで支払いが止まっている

といったケースでは、交通事故の被害者が生活に困窮することもあります。

そんな時に活用したいのが、「被害者請求」という制度です!
これは、被害者が加害者の自賠責保険会社に直接損害賠償金を請求できる制度で、その中で「早期支払い」を実現するサブ制度が「仮渡金請求」なのです。

行政書士
西野

被害者請求の一部として仮渡金を請求することで、事故後早期に一部支払いを受け、生活や治療を安定させることができます。
特に、示談交渉が長引きそうなケースでは、まず仮渡金を申請し、その後に本請求(被害者請求)へと進むのがおススメです。

"仮渡金"でどれくらい請求できる?金額と条件

請求できる条件と期間

仮渡金を請求するためには、次のような条件を満たしている必要があります。

条件項目内容
対象者交通事故の被害者本人またはその遺族
対象事故加害車両が自賠責保険に加入している交通事故
手続き先加害車両の自賠責保険会社(任意保険会社ではない)
時期事故後、治療が一定期間続く見込みがあるとき
※注意「物損事故」扱いでは対象外。必ず「人身事故」として届け出が必要
Information
  • 仮渡金は「治療が一定期間必要」と判断される怪我に対して支払われます。
  • 軽傷で通院が数日で終わるようなケースは認められません。

【実際の活用例】

  • 交通事故で骨折し、2か月の入院が必要になった被害者が休業中の生活費を補うために申請
  • 自動車事故で被害者がむち打ちと診断され、治療院への通院が長引いてしまい、治療費を賄うために申請

仮渡金の金額一覧(傷害・死亡別)

被害の程度仮渡金の金額対応する傷害の目安
死亡事故290万円被害者が死亡した場合(遺族に支給)
重傷(入院14日以上または治療3ヶ月以上)40万円骨折・内臓損傷など重症例
中程度(入院11日以上または治療1ヶ月以上)20万円打撲・捻挫で長期通院が必要な場合
軽傷(入院5日以上または治療1ヶ月以上)5万円軽度のむち打ちなど

傷害の重さ・治療期間に応じて段階的に設定されています。

医師の診断書で「治療見込み期間」が記載されていることがポイントです。

(出典:国土交通省「自動車損害賠償責任保険制度」)

行政書士
西野

申請書類が全て揃えば、おおむね1~2週間程度で振込が行われます

ただし、自賠責の保険会社により振り込まれるまでの期間が異なるので、1ヵ月程度かかってしまうことがあります。
また、書類の記載漏れや添付書類の不足があると、審査が長引くため注意が必要です。

"仮渡金"請求の流れと必要書類

仮渡金請求の流れ

仮渡金の請求は以下の流れで進めていきます。

ステップ内容ポイント
1加害車両の自賠責保険会社を確認事故証明書や警察で確認可能
2交通事故証明書を取得「人身事故」で処理してもらう必要があります
3医師から診断書を取得治療期間・症状を明確に記載
4保険会社の指定書式に記入仮渡金支払請求書を作成
5必要書類を提出郵送でも受付可
6審査後、指定口座へ入金1〜2週間程度で振込完了

仮渡金の請求は、通常の被害者請求よりも準備する書類が少なく済むので、スピーディに進められるのが特徴です。

必要書類と入手先一覧

書類名入手先内容
仮渡金支払請求書自賠責保険会社指定様式あり(署名・押印必須)
交通事故証明書自動車安全運転センター「人身事故」として交付請求
医師の診断書医療機関治療期間・入院日数を明記
身分証明書本人運転免許証など
振込口座通帳コピー金融機関被害者名義のもの
委任状(代理申請時)被害者本人行政書士・家族が申請する場合に必要
よくある
書類不備
  • 交通事故証明書が「物損事故」扱いになっている
  • 診断書に日付・印影の欠落がある
  • 委任状の押印漏れ

これらの不備があると、保険会社に書類を提出しても差し戻されてしまします。
差し戻されてしまうと、支払いが遅れる原因となります。

"仮渡金"制度のメリット・デメリットと注意点

メリット ― 被害者の「早期救済制度」

  • 生活費・治療費を早く受け取れる
    → 加害者の保険対応を待つ必要がないため、事故後すぐの経済的不安を解消できます。
  • 被害者の直接請求が可能
    → 弁護士や行政書士を介さず、自分で申請することもできます。
  • 任意保険に関係なく支給される
    → 加害者が無保険・逃走中であっても、自賠責保険があれば支給対象になります。
行政書士
西野

実務では、むち打ち症など比較的軽傷でも通院が長引く場合、5万円の仮渡金でも「精神的な安心感が大きい」との声が多いです。

当事務所では、その後の被害者請求までトータルでサポートすることができます!

デメリット ― 他制度との関係や返還リスク

項目内容
返還の可能性調査の結果「自賠責非対象事故」と判断された場合には返還義務が発生することも
内払いとの違い内払いは任意保険会社が暫定的に支払う金銭。仮渡金は法定制度として自賠責から支払われる
上限額仮渡金を含めた支払い総額は、自賠責の限度額(120万円)を超えられない
時効事故から3年経過で請求権が消滅(民法改正後も原則同じ)
注意点
  • 「過失割合が大きい」「治療の因果関係が不明確」などの場合、支給が見送られることも…

申請前に、交通事故証明書と診断書の内容をきちんと精査する必要があります。
請求に関して不安がある場合は、専門家に相談するのも一つの選択肢です。

まとめ

  • 仮渡金は、示談前でも自賠責から一時金を受け取れる救済制度
  • 加害者の保険対応を待たずに、被害者自身が直接請求できる。
  • 支払いまでの目安は約1〜2週間と比較的短期間。
  • 金額は5万円〜290万円で、傷害の程度に応じて段階的に設定されている。
  • 申請には「交通事故証明書」「診断書」「請求書」などの基本書類が必要。
  • 原則として返還義務はないが、自賠責対象外と判断された場合は返還リスクあり。
  • 内払いとの違いを理解し、二重請求を避けることが大切。
  • 行政書士・弁護士に依頼すれば、書類不備を防ぎ、支給までの期間を短縮できる。
  • 仮渡金で当面の資金を確保し、その後に本請求(被害者請求)で残額を受け取るのが一般的。
  • 不安な場合は、専門家への無料相談を積極的に活用しよう。

交通事故は突然起こります。
示談や保険金の支払いを待っている間にも、生活は続きます。
仮渡金制度は、そんなときに被害者を支える「早期支援制度」です。

「手続きが複雑そう」「どこに申請すればいいのか分からない」と感じる方は、
行政書士に相談し、最短ルートで申請を行いましょう!

当事務所では、交通事故の治療サポートとして、被害者請求・仮渡金の請求代行を専門に行っています!
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当事務所では、以下の報酬をお申し受けして被害者請求の代行をさせて頂いております。

¥66,000/件(税込み)

※通常価格

¥66,000/件(税込み)  ¥0

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